「精神保健福祉に関する制度とサービス」レポート①

パソコンのデータ整理をしていて、昔のレポートを発見!

供養として載せちゃいます。

 

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設題:精神保健福祉法における精神保健福祉士の意義と役割について述べてください。

 

 1950年(昭和25年)に「精神衛生法」が制定され、1987年(昭和62年)に「精神保健法」に改正された。更に1995年(平成7年)に「精神保健福祉法」に改正され、同時に精神障害者保健福祉手帳制度が創設された(第45条)。

 精神保健福祉法の創設時に求められた精神保健福祉士の役割としては、精神障害者の社会復帰を支援する人材である。長期入院患者の地域移行に関する問題を医療とは異なる観点で、精神障害者の視点に立ち社会復帰のために必要な医療的なケア以外の支援を行う人材が求められた。

 2014年(平成26年)4月に改正精神保健福祉法が施行された。要点は、保護者制度の廃止・医療保護入院の見直し・精神医療審査会の見直しなどである。

 保護者制度とは、精神保健福祉法において精神障害者につき1人「保護者」を決めることとなっており、治療を受けさせることや財産上の利益を保護するなどの義務が課されていた。保護者制度の廃止に伴い医療保護入院における「保護者」の同意要件がなくなり「家族等」のうちのいずれかの者が同意をする要件となった。この「家族等」とは、配偶者・親権者・扶養義務者・後見人又は保佐人を指す。

 医療保護入院の見直しでは、精神科病院の管理者に対して医療保護入院者の退院後の生活環境に関する相談及び指導を行う退院後生活環境相談員(精神保健福祉士など)の設置義務・入院者本人や家族からの相談に応じて必要な情報提供及び相談支援等を行う地域事業者などとの連携の努力義務・退院促進のための体制整備が義務づけられた。

 精神医療審査会の見直しでは、精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者が委員に規定された。精神保健指定医(2名以上)・精神保健福祉士保健師(1名以上)・法学者(1名以上)から5名を都道府県知事が任命する。

 精神保健福祉士法は1997年(平成9年)12月に成立し、1998年(平成10年)4月に施行された。精神保健福祉士の意義は、精神科医療のチーム医療において精神科ソーシャルワーカーとして患者と医療や支援を繋ぐコーディネーターとしての存在だろう。

 精神保健福祉士の役割としては、精神保健福祉法の第2条で【精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者】と規定されている。※1

 近年は、福祉的支援を必要とする精神障害者(核)からメンタルヘルス課題を持つ国民(周縁)へと対象領域が広がり、ニーズが多様化している。

 

 

※1 【   】内引用【引用文献】
・「最新 精神福祉士養成講座4 精神保健福祉制度論」
日本精神保健福祉士養成校協会 編集
中央法規 2021年2月刊 (P47)

 

【参考文献】
・「精神保健福祉士に求められる役割について」
第2回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会(参考資料) 
平成31年2月
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000488346.pdf

 

・「最新 精神福祉士養成講座4 精神保健福祉制度論」
日本精神保健福祉士養成校協会 編集
中央法規 2021年2月刊 (P32~52)