『凸凹デイズ』 山本幸久

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 誕生日記念第三弾!著作解説『凸凹デイズ』山本幸久 文芸春秋 2005年10月刊

お仕事小説。
九品仏にあるデザイン会社凹組(といってもアパの一室だが)に勤務して1年になる浦原凪海(ウラハラナミ)22歳。
遊園地「地獄園」のリニューアルをかけたコンペにロゴとキャラクターを出品した凹組。
はてさてどうなる?
結果はなんとロゴがライバルのQQQに、キャラはナミが描いたオニノスケ&デビゾー(凹組)に決定。さっそくQQQの代表醐宮(30過ぎ・女性)はキャラクターごと凪海の引き抜きにかかる。

凹組は30過ぎの大滝&黒川のオヤジと凪海しかいない極小デザイン会社。どうなる凹組っ!
話が進むにつれ醐宮・大滝・黒川の10年前の出会いが明らかになっていく。
醐宮の強気な発言「才能がある人間が努力してこそ、実を結ぶものなのよ。才能がない人間がいくら努力しても、ただの徒労」(P51)や、昔の大滝や今の凪海を断罪して「チャンスをいかしきれない奥手で不器用な間抜け」(P240)などとバッサリ切り捨てたりと小気味いいねぇ。

 脇役としての、棒アイス「ガリガリ君」・焼酎「いちころ」・漫画「うっちゃり刑事」・大滝のイラストTシャツ・世田谷もなかの包装・凪海の携帯電話の着メロ・醐宮の御堂筋大飯店バイクなどが、うまく伏線アイテムとして使われている。うまいなぁ。人物描写が巧みだねぇ。だって凹組で働きたいっ!と思わせられたもん。ちなみに凪海はボーナスなし・月給10万以下で働いているみたいだが(笑)。
働くのに疲れた人&「会社を辞めようか~」と密かに思っている人に特にオススメしたいですなぁ。