#読書

『反人生』 山崎ナオコーラ

表題作「反人生」という中編+短編3作品を収録。 「反人生」の中で主人公が 【こんなときはどうしたらいいのか、読書でもして自分を慰めればいいのかって、おい、違うだろう。文化ってなんのためにあるんだよ、たんに人間を慰めることしかできないものだっ…

「火花」又吉直樹

図書館で芥川賞を受賞する前の5月の連休に予約して、7ケ月後の12月にようやく順番が回ってきたよ。 で、この後も100人以上待ち。 すごい人気だね~。 熱海の花火大会の余興で漫才を披露した「スパークス」は徳永&山下のコンビ。 そこで最後に漫才を…

津村記久子 『二度寝とは、遠くにありて想うもの』

これは津村記久子のエッセイ集である。 エッセイ『やりたいことは二度寝だけ』に続く、津村記久子のエッセイ第2弾! 津村記久子のことを好ましいと感じるのは、この人の書く文章の本質が、働くことに基軸を置いているからだと思う。 働くことは生きることに…

『贖罪』 湊かなえ

日本一空気のきれいな場所と謳われる田舎町に、精密機械メーカー:足立製作所の新工場が立てられる。 それからコンビニもない町は、徐々に変化を遂げる。 工場の従業員として都会から来た見知らぬ人々が、町中にウロウロ。 5階以上の建物がない町に、7階建…

『クローバー』 島本理生

華子と冬治は20歳の双子の姉弟。静岡の実家を出て、大学(別々の学校)に通う為に都内のアパで2人暮らしをしている。 華子は男をとっかえひっかえ。それに比べ冬治は、高校生の時に付き合っていた(と本人は思っている)2歳年上の朝比奈さんのことを未だ…

『いい子は家で』 青木淳悟

3編から構成される家族小説。 「いい子は家で」 この主人公はニートなのかな。学生でもないようだし、会社に勤務しているわけでもないし。 しかし親に国民年金を支払ってもらっているようだから成人しているわけで。 それがこの家族のなかで一番の問題点だ…

『しずかな日々』 椰月美智子

アパートで母と2人暮す、枝田光輝(えだ・みつき)10歳・小5。 内気でさえない枝田は友達もいないけど、その幽霊のような存在からいじめられもしない。 そんな枝田が5年生になり、後ろの席の押田に「三丁目の空き地で野球しようぜ」と声をかけられ仲良…

『大きな熊が来る前に、おやすみ』島本理生

短編3作を収録した1冊。 表題作の「大きな熊が来る前におやすみ」は、父親に幼児期暴力を受けた少女が、成人して彼氏ができ、その彼氏に暴力を振るわれる話。この父親の暴力というのが身体的暴力(殴る・蹴るなど)なのか、性的虐待なのかは読み取れないの…

「おいしいハンバーガーのこわい話」 シュローサー・エリック

「ファーストフードが世界を食いつくす」というタイトルで出版された本を、10代向けに書き直したのが本書。ハンバーガー店=主にマクドナルドのことが書かれているんだけど。 食べた物(体内に入れたもの)で体がつくられるということを知らない人っている…

『バッテリー』 あさのあつこ

巧みたいな小学6年生(の春休み・4月から中1)っているのかなぁ。 あまりにも自信過剰というか、冷めた思考というか。 弟とは2歳の年の差なのに、もっと差があるような違和感。 母親は野球が嫌いなのに子どもにブルーウェーブ(青波)なんて名づけるかな…

「パレード」 吉田修一

5人の男女が共同生活する話。(男3人・女2人) 最後の最後で、直樹が通り魔的に女性を殴っているのをサトルに止められる描写に愕然。 これって必要なシーンなの? 唐突に出てきて、何故こんな話の展開になるのか理解できない。 その前から「最近、不審者…

「ヘビイチゴ・サナトリウム」 ほしおさなえ

5人の女性の飛び降り自殺し、1人の男性が殺害された話。 。嫁前、中高一貫の女子高校である私立白鳩学園の国語教師・宮坂雅弘の妻である宮坂緑がマンションの屋上から飛び降り自殺をする。宮坂と緑は同じ西桜(せいおう)大学の文芸サークルで、宮坂は文学…

「包帯クラブ」 天童荒太

「いるのよ、代わりはいっぱいね。そのことを証明してみせようか。いまから死ぬよ。でも、いい、ワラよく見ててね、何も変わらないから。世界は少しも変わらない。」 『世界は少しも変わらない。』 かなり深いセリフですなぁ。 でも、何も行動しなないでただ…

「失われた町」 三崎亜記

設定でガチガチに固められていて、感情移入できなかった。 登場人物も芝居がかっていたし。 「私はそんなことで自分が穢れるなんて思っていないから」(P282)という由佳。 こんなこと女子高校生は言わないから! 表紙の中央、川で釣りしている人が最初…

「エバーグリーン」 豊島ミホ

女サイド:松田綾子と男サイド:宮本シンの目線で語られる青春群像物語。 漫画家の夢を叶えた綾子とミュージシャンの夢破れリネン会社に勤務するシン。 そういえば同じ著者の「猫のように」では重(40歳・男性)の母親の名前が松田アヤだったなぁ。 おっ!…

「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦

表紙の絵がアジカンのCDジャケットを描いている中村祐介さんによるもの。 日日日「ピーターパン・エンドロール」の表紙も中村さん描いていたよね~。 アジカンのCDジャケで名を売って、今度は本の装画に進出かぁ。 大学1年生の黒髪の乙女に恋をする、先…

「続・嫌われ松子の一生 ゴールデンタイム」 山田宗樹

タイトル通り「嫌われ松子の一生」の続きです。 そこで、なんとなく松子を死に至らしめた少年少女サイドの話かなぁ~と思っていたら、全く違った。 あのコたちは一体どこへいってしまったのやら。 あの少年少女の話は一切登場しなかったよぉ。 それがちょっ…

「グルメな女と優しい男」 望月あんね

うーん。本谷有希子のパクリ文体っぽい。←辛口かな? 文章がニセモノっぽく感じる。なんだろう。「無理している感」があるんだよね~。 りん子の勤務する学生服を扱う店(本社)。女子社員がこんなにふざけていいのなら、この会社に自分も勤めてみたいもんだ…

『錦帯橋架け替え全記録』 井上和博

『錦帯橋架け替え全記録』 井上和博 発行:アップフロントブックス 発売:ワニブックス 2500円+税 現代に、この形の橋って必要なのかなぁ。コンクリの橋でいいじゃん!と思ったり。 実際に架け替えをした大工と釘を製作した鍛冶職人を1人1人クローズア…

『女たちは二度遊ぶ』 吉田修一

女性との出会いと別れを描いた11の短編を収録。連作小説ではない。 現代を描くのではなくて、ちょいと昔の話が多かった。公衆電話が幅を利かせていた時代やメールなんてない時代の話。世の中は携帯電話の出現で人間関係も大きく変わったんだなぁ。 3作目…

原爆写真 『ノーモア ヒロシマ・ナガサキ』

原爆写真『ノーモア ヒロシマ・ナガサキ』 黒古一夫・清水博義 編 日本図書センター 日本図書センター創立30周年特別企画。戦後60年の2005年3月に出版された日本語・英語同表記の写真集。原爆直後の広島・長崎のすままじい現実が晒される。 広島の…

『チョコ。』 後藤彩

『チョコ。』後藤彩 碧天舎 2005年2月刊 第三回碧天文芸大賞最優秀賞 作品。 高校1年生の江口美佐はクラスメイトの井川が気になる。しかし井川は両親から虐待(身体的暴力)を受けていて生傷が絶えない。何かしてあげられないかと悩む美佐。う~ん。そこら…

『幸福ロケット』 山本幸久

誕生日記念第っ董著作解説 などといってる間に6月1日になってしまったよ。 お花茶屋小学校5年生の山田香な子は両親と3人暮らし。隣の席の小森くんに鉛筆を貸してあげたことから、同じクラスの町田さんに「小森くんのこと好きなの?」なんて目ざとく訊かれち…

『凸凹デイズ』 山本幸久

誕生日記念第三弾!著作解説『凸凹デイズ』山本幸久 文芸春秋 2005年10月刊 お仕事小説。 九品仏にあるデザイン会社凹組(といってもアパの一室だが)に勤務して1年になる浦原凪海(ウラハラナミ)22歳。 遊園地「地獄園」のリニューアルをかけたコンペに…

『はなうた日和』 山本幸久

誕生日記念第二弾!著作解説◆悗呂覆Δ親隆臓抻核楾久・集英社 2005年7月刊 世田谷線沿線を舞台にした8篇の小説を収録した短編集。2篇目『犬が笑う』で「スナックとき」に勤務する陸子。彼女がスナックの前に勤務していたのが未名未コーポレーション。この社…

『笑う招き猫』 山本幸久

山本幸久さん40歳おめでとうございます!本日、2006年5月31で40歳ですね。 ということで誕生日記念第一弾! 著作解説 愍个招き猫』山本幸久 集英社 2004年1月刊 第16回小説すばる新人賞受賞作品 150cm60kgの豆タンク体型のアカコと180cmのヒトミは、28歳にな…

『永遠』村山由佳

埼玉の某酒屋の跡取り息子である徹也。 向かいに住む幼なじみの吉田弥生(20歳)についての考察。 帯に、内山理名初主演映画「永遠」のサイド・ストーリーとある。 なるほど。 「映画では弥生を内山理名が演じたのか~」などと思って読み進めていったら、最…

『君は永遠にそいつらより若い』 津村記久子

ホリガイは地元の公務員試験に合格した、大学4回生(社会学科・22歳)のポチョムキン。←意味はこの本を読んでのお楽しみ(笑)。13ページまで読むと出てくるよ。 登場人物がみんなクセ者。飲み会で1回だけ一緒になった文学科のホミネくんはアパで首つ…

『はるがいったら』 飛鳥井千砂

両親の離婚により離れて暮らす姉弟の話。デパートの受付嬢をしている水原園(22歳)と高校3年生の佐々行(18歳)。そして14年前に2人に拾われた老犬のハル。この小説のキーマンはハルでも佐々家&水原家のメンバーでもなく、宮本さんじゃないかなぁ。&同棲…

『踊るナマズ』 高瀬ちひろ

よく理解できなかったよ。著者がナマズについて調べた事をまとめた、研究文を読んでるみたいだった。田多間町で雑貨屋を営む両親と暮らす西澤弥生(14歳)。その年に町に引越してきた駐在さんの息子、中谷一真と一緒にナマズの研究(夏休みの課題)をするこ…