『反人生』 山崎ナオコーラ

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表題作「反人生」という中編+短編3作品を収録。

「反人生」の中で主人公が

【こんなときはどうしたらいいのか、読書でもして自分を慰めればいいのかって、おい、違うだろう。文化ってなんのためにあるんだよ、たんに人間を慰めることしかできないものだったのか。】

と思い巡らす描写があるんだけど。(P10)

同著者は『ここに消えない会話がある』で

【傷ついたときは本を読め。芸術なんてものはそのためにある。弱い人のためにあるといって過言じゃねえ】と語っている。

文化や芸術というのは、マズローの5段階欲求では最上位(自己実現欲求)だからね。
文化や芸術を使って(利用して)自分を慰めたり傷を癒そうとするってことは、他の4段階部分(生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・尊厳欲求)は満たされているということで、高等な悩みとも言えるのかな。

「失恋した時に聴く曲ランキング」んあてものがあるけど、自分の負った傷を文化や芸術で癒すとは、
日本は民度が高い国なんだね~と改めて感じ入ったり。