パソコンのデータ整理をしていて、昔のレポートを発見!
供養として載せちゃいます。
***************************************
設題:精神障害者の再発には、家族のEE(感情表出)が影響していると言われています。精神保健福祉士の立場に立って、このことについて自分の意見や考えも入れ込みながら論述してください。
EEとは、1960年代にイギリスのブラウンによって開発された感情表出に関する評価尺度である。家族の相互関係を測る家族面接をして、敵意・批判・情緒的巻き込まれすぎという3つの感情表出のいずれかが高い状態を高EE、そのいずれも低い状態を低EEとした。
EEが高い家族は当事者に対して、敵意に満ちた批判的コメントが多いか、心配のあまり過保護や過干渉的な行動が多い。逆にEEが低い家族は、当事者と適度な距離をとれた関係性であるというように、EEは当事者と家族間の相互関係を反映している。これは統合失調症だけでなく、うつ病・認知症・神経症など他の精神疾患の患者を持つ家族にも当てはまる。
家族が敵意・批判的態度や過保護・過干渉の態度を取るのには、病気(症状・対処法・治療法)に対する理解度の低さや恥ずかしさや隠さなくてはならないという偏見によるもの。また他の家族の協力が得られずに1人(母親)が問題を抱え込んだり、対応せざるを得ない状況で起こる。まず家族は病気に対する正しい知識を持ち患者に対して「あなたの味方だよ」というメッセージを送ることが重要である。統合失調症は、薬物治療+精神科リハビリテーションの治療で症状をコントロールことができる。
高EEと統合失調症の再発には関連性があり、高EEの改善を目指して行われる家族支援の方法が、家族心理教育プログラムである。統合失調症に関する教育部分(症状・経過・治療・社会資源・家族の対応)と患者の病状や対応で困ることに対して家族自身が問題を解決する技能の向上を目的とする部分が組合されたプログラムである。
テキストやパンフレットなどでは、子ども(20歳前後)が精神疾患で親が家族会に参加するという事例の記載が多々あるが、現実には親が精神疾患で幼い子どもがそれを理解しないまま苦しめられる事例が多い印象を受ける。中村ユキ「わが家の母はビョーキです」では、著者が4歳の時に母(当時27歳)が精神科に通院し始める(母と娘1人の母子家庭)。まず母親自身が統合失調症という病気を理解しておらず勝手に服薬中断。それにより著者が母に包丁を持って追いかけ回されたり、母の妄想や幻覚など意味不明な言動を目の当たりにする。それを小学生・中学生が理解できるだろうか?困ったことがあれば保健所・精神保健福祉センター・みんなねっとなどに相談しようと啓蒙活動されているが、子どもがそこまで辿り着き、アクセスできるのか疑問に感じる。
最近ヤングケアラーという言葉を目にする機会が増えたが、年下のきょうだいの面倒をみたり簡単な家事・手伝い程度なら理解できるが、精神疾患の親の対応を子どもにさせるのは危険だと感じる。(1107字)
【参考文献】
・「最新 精神保健福祉士養成講座3 精神障害リハビリテーション論」
一般社団法人 日本ソーシャルワーク教育学校連盟 編集
中央法規 2021年2月刊 (P144~145・P184~185)
・「わが家の母はビョーキです」①②巻 中村ユキ
サンマーク出版 ①2008年 ②2010年刊
(コミックエッセイで、読みやすいですよ。)
・すまいるナビゲーター 統合失調症
大塚製薬株式会社
https://www.smilenavigator.jp/tougou/family/guide/
・「感情表出と再発率について」
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/mentalhealth/mental/about_stress/expression_recurrence.html