「失われた町」 三崎亜記

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設定でガチガチに固められていて、感情移入できなかった。
登場人物も芝居がかっていたし。
「私はそんなことで自分が穢れるなんて思っていないから」(P282)という由佳。
こんなこと女子高校生は言わないから!

表紙の中央、川で釣りしている人が最初「おばさん」に見えた。もじゃもじゃパーマっぽい。
しかしよーく見ると「少年かなぁ?」とも思ったり。半ズボン(ハーフパンツ)穿いているみたいだし。
散歩している人・デートしているカップル・野球している少年たち。いろんな人が表紙にはいるが、こんなドブ川で釣りする人はいくらなんでも不自然だろ~と感じたよ。装画:野田あい。

そーいえば、各章ごとにお茶が効果的に使われていたのに気づいた?
プーアル茶、ジャイナ茶、ラベイカー・ティー(1章)、黒葉茶(2章)、響挽茶〈きょうばんちゃ〉(3章)、薬草茶(4章)、白湯みたいなお茶:常葉〈ときわ〉茶?(5章)、濾過茶〈エスプレッソ〉(6章)、初穂の茶(7章)、その他にも紙コップに入ったお茶など、日常的に飲料茶が登場してきて「茶、飲みすぎだろう」と思ったり。お腹ガボガボになるぞ。
(実際には1章・2章ではなく、エピソード1・エピソード2ですが)

他にも気づいたこと。
脇坂さんの撮影した写真が飾られている、公園沿いの雑居ビル2階にあるカフェ「リトルフィールド」。
高校生の由佳と勇治が行った、駅裏通りにあるカフェ「ウエストフィールド」。
月ヶ瀬町に住んでいた和宏がバイトしていた「ロングフィールド」。←ご主人の名字である長野をそのまま英語読みしただけの店名とのこと。
ということは、それに準ずるとあの女性言葉を使うマスターは小野か?
そして東野。・・・・・喫茶店・レストランの店主は「○野」という名字ばかりかいっ!とツッコミ入れたり。(笑)どーでもいい、些細なことに気づいてしまうんだよねぇ。

この小説の中の唯一の性描写が、業務上の実験で由佳が勇治をホテルに誘うシーンだった。
そういえば同著者の「となり町戦争」でも唯一の性描写が香西さんが北原のベットに業務遂行上、入るシーンだったなぁ。

なんだろぅ。ゲームの説明書を読んでるような感覚は?
上手いんだけど、おもしろいんだけど、これには直木賞はやれんなぁ。
第136回直木賞候補作品。