「精神疾患とその治療」レポート②

パソコンのデータ整理をしていて、昔のレポートを発見!

供養として載せちゃいます。

 

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設題:精神障害の症状としての「錯覚」と「幻覚」の違いを説明しなさい。

 

 精神疾患の分類は病因に基づくもので、外因性・内因性・心因性の3つに分類される。

 外因性とは、精神の外部からの原因によるもので(脳も外部と捉える)、脳の物質的変化(脳腫瘍・脳卒中・頭部外傷など)による器質性精神障害・身体疾患による症状性精神障害・薬物中毒などによる中毒性精神障害などがある。アルツハイマー認知症・脳血管性認知症も外因性に含まれる。

 内因性とは、病気になりやすい素因に環境要因が加わって発病すると考えられている。典型的なうつ病・双極性感情障害(躁うつ病)・気分障害統合失調症などがある。

 心因性とは悩みやストレスなどの葛藤や心理的原因により様々な症状が生じるもので、適応障害神経症性障害・ストレス関連障害がある。一般人には、内因性と心因性の違いの見極めが困難だろう。

 知覚の間違い(妄覚)として、実在するものを異なったものとして知覚するのが「錯覚」である。「錯覚」とは、次の3つに大別される。小動物がいると思いよく見たら石ころだった「不注意錯覚」。深夜に恐怖心を抱きながら徒歩で帰宅していると、柳の木や枝葉が人に見える「情動錯覚」。天井のシミが人の顔に見える「パレイドリア」。このような「錯覚」は誰しもが体験する現象である。また、Aさんだと思い声を掛けると全く知らない人だった(人物誤認)は錯覚の一種と言えるものもある。どの感覚領域に出現するかによって錯視(目)・錯聴(耳)・錯触(皮膚)とよばれる。

 一方「幻覚」とは、現実にはそこに存在していないのに、まるでそこに存在するかのように知覚することである。どの感覚領域に出現するかによって、幻視(目)・幻聴(耳)・幻臭(鼻)・幻味(舌)・体感幻覚・幻触(皮膚)と呼ばれる。また幻覚の内容から、意味性の乏しい感覚要素(光・色・足音)が出現するのを「要素幻覚」といい、人の話声や姿といった「複合幻覚」とが区別される。

 通常の知覚と並行して出現するものを「機能性幻覚」というが、例えばトイレの水が流れる実際の音と一緒にそこにはいない人の声が聞こえる様な場合である。自分の背後に人がハッキリ見えたり、腹の底から声が聞こえたりなど通常では知覚できないところに現れる幻覚を「域外幻覚」という。

入眠時幻覚(入眠時にみられる幻覚)を除き「幻覚」の大半は病的なものである。入眠時幻覚は健常者でも体験される。

 つまり錯覚は、感覚器官が正常であるにも関わらず、実際には異なる情報として感覚を得るもので心因性。幻覚は、感覚器官に異常があり、知覚する対象が実在しない場合に起こり、器質性幻覚症は外因性である。

 

 

【参考文献】

・「精神神経疾患ビジュアルブック」

落合慈之 監修・秋山剛 編集・音羽健司 編集

学研メディカル秀潤社 2015年9月刊

 

・「最新 精神福祉士養成講座1 精神医学」

日本精神保健福祉士養成校協会 編集

中央法規 2009年2月刊 (P46)

 

・「精神医学」

上野修一(編集)・大蔵雅夫(編集)・谷岡哲也(編集)・北川定謙(監修)・北村論(著/文)

中外医学社 2014年3月刊 (P4~5)