『大きな熊が来る前に、おやすみ』島本理生

イメージ 1

短編3作を収録した1冊。

表題作の「大きな熊が来る前におやすみ」は、父親に幼児期暴力を受けた少女が、成人して彼氏ができ、その彼氏に暴力を振るわれる話。この父親の暴力というのが身体的暴力(殴る・蹴るなど)なのか、性的虐待なのかは読み取れないのだけど。。。。。


「クロコダイルの午睡」はビンボーな女学生・霧島が同じ学科のお金持ちぼっちゃん都築新(つづき・あらた)に恋する話。「迎えに来るどころか、家を飛び出して明け方まで帰ってこない母親を探しに出かける子供がいることなど、きっと彼らは知らない。」(P110~111)という文章は、著者の実体験なのかなぁ。彼女の著作『あなたの呼吸が止まるまで』にも似たような記述があるからさ。


「猫と君のとなり」中学校のバスケ部の先輩後輩だった、志麻と萩原。
大学生になった二人は再会し、いいかんじになるが・・・・・・・。


この人の描く主人公の女性は、内気で芯があり生真面目な人が多いよね。著者自身が少なからず投影されているのかしら。そして男に尽くす人が多いよね。女性が男性にごはん作ってあげるシーンなんか日常的に出てくるし。古風なのかな?


島本理生って立教大を退学していたんだねぇ。知らなかったよ。
この人って「憮然」という言葉を多用しているよね。クセなのかなぁ。

装画は酒井駒子